9月の軽井沢コラボ 演者の小島さんから

今年の秋の軽井沢のコンサート、第1日目は声楽、ヴァイオリン、オルガンによるバロックアンサンブルの響きをたっぷりお楽しみいただきます。

本岩さんは、カウンター・テノールという特殊な音域を出すことのできる、数少ない歌い手のひとり。かつて、ヨーロッパの教会では女性が聖歌隊で歌うことが禁じられていたために、女声のアルトパートを男性がファルセット(裏声)を使って歌うようになったのがカウンター・テノールの始まりです。

一方天野さんは現代使われているモダン・ヴァイオリンではなく、バロック時代に演奏されていたそのままの形、音色のバロック・ヴァイオリンを弾きこなすエキスパート。

そんなお2人とオルガンで共演するのは、まず3大アヴェ・マリアのひとつと言われて、親しまれているカッチーニのアヴェ・マリアです。この曲は本岩さんの十八番で、これまで2人で何度一緒に演奏したことでしょうか。実はカッチーニの作品ではないのでは?などと言われている謎に満ちたものですが、なにはともあれ名曲です。
そして、バッハのマタイ受難曲の中でも一番有名なアルトのアリアを。世にも美しいヴァイオリンの旋律が心に染入ります。
また、今回のプログラムの中でオーベルタンオルガンの輝きを最も引き出すと思われる、フランス古典期に活躍したクレランボーの第2旋法のミサ曲は、グレゴリオ聖歌を組曲の間にはさみながら演奏を進める、昔のフランスのミサの形式を再現してみます。軽井沢にいながら、まるでフランスの修道院にいるような感覚をその場にいらっしゃる皆さんと共有できたら幸せです。

さらに、バロック・ヴァイオリンの音色もじっくり堪能していただきます。「人類史上」とか、「世界一」美しいヴァイオリンの秘曲、と言われているビーバーのロザリオのソナタから、第1番「受胎告知」をオルガンの通奏低音とともにお送りします。